世界での 「Implicit Bias(潜在的バイアス)」 という言葉の広がり

 Google Trendsで、以下の各用語のGoogle検索数について、確認してみました。横軸は、2004年1月から2024年10月(2024/10/12現在)までの期間を示し、縦軸は、その期間最大だった検索数を100%とするときの割合を表しています。文字が小さく読みにくい場合は、画像をクリックして拡大してみて下さい。


 世界的には、Implicit Bias (青) が Unconscious Bias (紫) より検索されています。理由はこれまで見てきたように、学術界ではImplicit Biasが主流であることからだと思われます。また、2014年以降、Implicit BiasとUnconscious Biasの検索数が増加していっています。2014年は、社会がこの問題に関心を示しだした年と言えるかも知れません。

 大体の期間でImplicit Bias の値に追随して Unconsious Bias も上下するような線となっていますが、2020年に Implicit Bias の値はスパイク上に跳ね上がっています。何故でしょうか?

 この年、米国でアフリカ系アメリカ人のジョージ・フロイドやブリオナ・テイラーらが警察官によって殺害され、全米で The Blak Lives Matter(BLM) 運動が活発化し、同時にImplicit Biasという用語は広く知れ渡りました(ハーバード大学のサイトより Taking a hard look at our implicit biases — Harvard Gazette)。その結果がグラフに現れているものと考えられます。



米国公共ラジオ放送のサイトより(Bias and Police Killings of Black People : NPR)
 
 また、Implicit Bias の値は 2016年にも跳ね上がっています。この部分も、Implicit Bias とUnconscious Bias が概ね連動している他の部分とは異なり、Implicit Biasのみの跳ね上がりに見えます。これはその年の米国大統領選挙討論会で、ヒラリー・クリントンによって Implicit Biasが言及された事が要因かと思われます。当時から警察官によるアフリカ系アメリカ人への発砲が問題になっていましたが、彼女は Implicit Bias は警察官だけの問題ではなく全ての人の問題であり、施策していくつもりであると語りました。この討論会は、8300万人が視聴しています。その結果が、Google Trendsに現れたと考えられます。


 以上のように、世界的には Implicit Bias(潜在的バイアス) という用語が主流といえます。

 これから、アンコンシャス・バイアス(潜在的バイアス)についてより具体的に紹介し、日本での誤用を示すための前提知識としていきたいと思います。
まず、アンコンシャス・バイアス(潜在的バイアス)は、どのように計測するのでしょうか。

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