日本での誤用:その無意識調査は何の調査?

 アンコンシャス・バイアス(潜在的バイアス)は単純な質問形式やチェックシートでは測ることが出来ないものです(アンコンシャス・バイアス(潜在的バイアス)を測るテスト、IAT (bias-research.blogspot.com))。しかし、多くの書籍やサイトで、アンコンシャス・バイアス(潜在的バイアス)に対するチェックシートが掲載されています。これらで測れるものは顕在的なものです。

 代表的なものを見ていきましょう。

 以下、「あなたのチームがうまくいかないのは「無意識」の思いこみのせいです」守屋智敬 著(2017/11/1)から、「あなたの行動に潜んでいる<アンコンシャス・バイアス>チェックシート」を引用します。


 この本は、日本で最も早い時期にアンコンシャス・バイアス(潜在的バイアス)を「無意識の思いこみ」として説明しました。後で説明するように、「無意識の思いこみ」という言葉を使う事は適切ではありません。

 さらに、「「アンコンシャス・バイアス」マネジメント」(2019/5/22)には「自分の無意識のバイアスを疑おう~7個の思い込みチェック」として以下のようなチェックリストが掲載されています。


 また、「ダイバーシティ&インクルージョン経営」荒金 雅子 著(2020/5/29)では、「あなたの職場では、このような言動はありませんか。」として、以下の記載があります。



  

 この荒金氏の本の参考文献の一つは、守屋氏の著作「「アンコンシャス・バイアス」マネジメント」です。

 2021年度、内閣府の男女共同参画局による「令和3年度 性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究」では、被験者が以下のような測定項目に対して回答する、という調査方法を取っています(02.pdf (gender.go.jp))。この調査検討委員会委員として荒金氏は参加し、「無意識の思いこみ(アンコンシャス・バイアス) -チェックシート-」を監修しています(PowerPoint プレゼンテーション (gender.go.jp))。

Comments