Google Trendsで、以下の各用語の検索数について、確認してみました。横軸は、2004年1月から2024年8月(2024/8/23現在)までの期間を示し、縦軸は、その期間最大だった検索数を100%とするときの割合を表しています。文字が小さく見にくい場合は画像をクリックしてみて下さい。

日本では、上の図のように、アンコンシャス・バイアスの方が潜在的バイアスよりも検索された数が多いことが分かります(2024/08/23)。そのため、このブログではアンコンシャス・バイアス(潜在的バイアス)という語を使います。
グラフを見ると、2018年以降に「アンコンシャス バイアス」の検索数が大きく上昇しています。その理由について、考察してみました。
日本でUnconscious Biasという用語が紹介された最も早い時期は、2016年あたりのようです(essay.pdf (djrenrakukai.org))。大坪久子により情報収集された結果は、英語で提案書(提案書(表紙) (oist.jp))にまとめられています(2016)。この提案書では、”Implicit/unconscious bias”と、英語圏でしばしば見られるように潜在的バイアスとアンコンシャス・バイアスが併記されていました。
その後、2017年に大坪やMachi Dilworthらにより、リーフレット「無意識のバイアス - Unconscious Bias - を知っていますか?」(UnconsciousBias_leaflet.pdf (djrenrakukai.org))が作成され、大学や学会、内閣府等に配布されました(初版は2017, 現在は改訂版2019)。
このリーフレットでは、Implicit Bias(潜在的バイアス)という用語ではなくUnconscious Bias(無意識のバイアス)という用語が選ばれています。また、このリーフレットには「無意識のバイアス」と「Unconscious Bias」とは同じ文字の大きさで書かれており、人はそのまま「無意識のバイアス、アンコンシャス・バイアスを、知っていますか?」と読むことが想定されます。さらに、このリーフレットはpdfで公開されていますが、そのファイル名はUnconsciousBias_leaflet.pdfになっています。つまりこのリーフレットには、Implicit Bias(潜在的バイアス)ではなくUnconscious Bias(アンコンシャス・バイアス、無意識のバイアス)の方が周知される、複数の要素がありました。
よって、2017年よりこのリーフレットが展開されたことが、2018年以降の日本で、潜在的バイアスではなくアンコンシャス・バイアスが格段に多くGoogle検索される理由の一つではないか、と推測されます。
なぜ、このリーフレットではImplicit Bias(潜在的バイアス)ではなくUnconscious Bias(アンコンシャス・バイアス、無意識のバイアス)が採用されたのでしょうか。
一つの理由として、Googleが2014年、Unconscious Bias @ Work(Unconscious Bias @ Work | Google Ventures (youtube.com))と銘打ったセミナーを開催し、話題になったことが考えられます。この動画は、現在までに37万回以上再生されています(2024/10/07)。このセミナーを開催した理由は、Google Doodles(一時的に変更されるGoogleのホーム画面。著名人の誕生日を記念した表示がされたりする)で登場する人物は半分以上を白人男性が占める、という指摘が外部からあり、改善する必要があったからです。CNNもこの指摘があった事を報じており、当時話題になった事を裏付けます(Google Doodles team makes strides toward diversity pledge | CNN)。
このリーフレットにUnconscious Bias(アンコンシャス・バイアス、無意識のバイアス)を採用する事は、後に紹介するように、誤解と誤用を招く下地になったと推察します。
では、同様の調査を全世界に対象を広げて行うと、どうなっているのでしょうか。
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