Googleによるアンコンシャス・バイアスのセミナーで紹介されている実験です(1:04~)。ある教授らは、全米の著名な大学の教授らに、名前が女性名か男性名かだけ違う同一の履歴書を送付しました。応募先の役職は、科学研究所の管理者です。教授たちは、男性名の履歴書の人物を女性名の履歴書の人物に比べ、より有能で、より採用可能で、より高い給料を払う事ができる、と評価しました。
”The Impact of Gender on the Review of the Curricula Vitae of Job Applicants and Tenure Candidates: A national Empirical Study”(1999)では、4種類の履歴書を使い、実験しました。女性または男性求職者としての履歴書、女性または男性テニュア(終身在職権)候補者としての履歴書です。実在の科学者のキャリアを積む前の経歴を求職者の履歴書として、キャリアを積んだ後の経歴をテニュア候補者の履歴書として使いました。結果、早期にテニュアを得た非常に競争力のこの科学者のテニュア候補者としての履歴書に対しては、性別の区別なく評価がされていますが、求職者としての履歴書に対する評価では、男性名の履歴書の方が女性の同一内容のものに比べ、より十分な教育を受け、研究を行い、奉仕の経験があるとされました。テニュア候補者としての履歴書は正当に評価されたように思われますが、男性より4倍多く被験者からの警告的なコメントを得ています。それらは、「私たちは彼女のプレゼンテーションを見る必要があります。」「私は、彼女が自身でその助成金と出版物を得たのか、証拠を見る必要があります。」といったものでした。
女性はテニュア候補者として正当に評価はされているが、男性と比較して警告的なコメントを受けやすい、とは何を意味するのでしょうか。女性の方がより心理的負担をかけられやすく、より多くの証明を必要とされる事は、女性の社会進出に対し不要で不当な重荷になっているのではないでしょうか。
これら履歴書の実験では、被験者達は性差で差別する意図はなかったと想像されますが、データはその差別的行動を示しています。これらは、する方もされる方も気が付かない性質の差別的行動であるといえます。
「一夜にして有名」、というジャコビーらの実験が心理学では知られています。一日目、被験者は適当に電話帳から引いた何十もの名前について、名前の発音し易さについての判断を求められます。二日目、別の名前のリストが与えられます。そのリストには、前日の名前、新しく電話帳から加えられた名前、そして実際に有名な人の名前が書かれています。被験者は、それらの名前が有名であるかどうか、判断を求められます。結果、被験者は前日見た無名の人でも有名であると答えやすい傾向がある、という事が示されました。
ジャコビーの実験では、男性名のみを使っていました。それに気づいたバナージらは、女の名前を混ぜて実験しました。結果、男性の方が女性より有名だと判断されることが分かりました。
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